『Body and Soul, and Body』





躯と心と、躯



 全身がだるくて思うように動かない。

腕を伸ばし、体の向きを変えようとしたら、鈍い強張りと倦怠感に襲われた。

 何が起きたのかさっぱりわからない。ゆっくり眼を開けてみた。

飛び込んできたのは燃えるような紅。

  「大丈夫か? ちょっと無理したか」と覗き込む。

 何したんだっけ―――?言われて先程までを思い出してみる。



ああ、そうだ、私から誘ったんだ。



  あまりにも、お前が欲するから

初めは苦痛の方が大きかったその行為も

慣れてくると、妙にむず痒くて。

身の置き所が無くて、自分を持て余して、泣きたくて


 それなのに満足そうなお前の顔が腹立たしくて

つい、その手を取った。



「・・・・・・足りねえのか?」

「分からない・・・・・・」

「十分て顔じゃあねえな」

「十分なのはお前だろ?」

「そう見えるか?抑えてんだけどな、お前がぶっ壊れないように」

「満足そうに見えたのに、お前も違うのか」





一瞬の沈黙の後

唐突に、取った手を掴み返して胸元に引き寄せられた。

そのまま深く口付けられ息が出来なくなる。

「―――んっ、じ、 な、に急に・・・・・・」

目の前には

やけに嬉しそうな、不敵な笑い顔。


「 気がついてねえのか? 自分で言ってんだろが! 

 満足そうに見えて違うってよ!!

 お前も全然足りねえんだろ?―――なら話は早えぇ」





手を取ったのは私だ。

そして、初めて身の置き所が見つかった。





070724