『酔っぱらい』



おい

起きろルキア

こんなとこで寝るな しっかりしろ

お前、聞こえてるか?



 何か言われているのは分かったけれど
 私を呼ぶその声が心地良くて
 柔らかな律動にいつまでも身を任せていたくて
 ただただじっと 目を閉じていた。



うわ

ぐにゃぐにゃじゃねえか

誰ですか こんなに飲ませたの

こいつあんま顔に出ないんでかえってヤバイんすよ



 この前面白がって勧めたろう
 これなら飲みやすいぞって。
 確かに甘口で 柑橘類の香りが爽やかで
 気がついたら立てなくなってたけどな。



いや

何もしてないっすよ

てか、出来る訳ないでしょう んなこと

少し治まってから送ってきましたよ



 ……ちょっとならしたくせに。
 動けなかっただけで
 感触くらいは分かるんだ
 嫌じゃないから黙ってたけど。



しませんてば!

え、ちょ、うわ、待っ



ルキア

誕生日一次会お開きだと

続きは俺んちでやれって

お前、お持ち帰りされるか?



 両手を思い切り伸ばしてみた。
 ふわふわと宙に浮くような気分ごと
 逞しい腕が受け止めてくれるから。


「…………される」