跡を付けるな、と胸に降らせる唇と舌を拒絶するから
分かった、と短く告げて
華奢な躯を抱き抱え、布の上でうつ伏せにした。
表情の見えないまま首筋を舐め上げると、鼻に抜ける甘い声が漏れる。
それでも言質とったとばかりに
「なあ……」
どこか理性を残した声が、欲に釘を刺そうとする。
「そんな力入れてねえぞ」
唇を這わせたまま耳朶を甘噛みして呟くと
「ん、お前は、言うことを、聞かないから」
んなことねえ、と宥めながらも、よく分かってるじゃねえかと内心ほくそえんだ。
脇から腕を伸ばし、掌に形のいい丸みを収めるとゆっくり揉みしだく。
小さな声が上がる度に、つんと尖った先が指の腹に当たる。
何時もなら、蕩けていく表情をじっくりと楽しむんだが、後ろからの愛撫では残念ながらそれは分からない。
その代わり、普段見られないものが目の前にある。
ほっそりとした首筋
白くなだらかな背中
曲線を描く腰
柔らかな尻肉
どれもこれも、溺れるには十分魅惑的だ。
手の中で形を変えるほどに、柔肉に指を食い込ませても、制止の言葉はもう出て来ない。
甘い溜息が、催促に聞こえるのは錯覚じゃあないだろう。
迎える準備が出来ていることを、ぬるりとした感触で確かめると
一気に襞を割って侵入する。
悲鳴とも、悦びとも付かない叫びが、ひっきりなしに小さな口から零れるから
その貪欲さに負けないように何度も穿つ。
何も考えられず
獣のように快楽を貪り
汗を浮かべる項に
背中に
決してお前からは見えない場所に
何度も歯を立て
きつく吸い上げ
跡を残してやった。
当然だろう?
お前は俺の所有物なんだから。