『ルール違反』



「乱菊さん、ちょっといいスか?」

 副隊長達の新年会、別名某隊長を激怒させる飲み会での出来事。

「な〜に? あんたちゃんと飲んでんの、その顔〜!」
「何が嬉しいっスかねえ……」
「は?何のことよ」
「……誕生日に貰って嬉しいものです」
「んーそうねえ、萬屋の限定仕込み『白梅』とか、香我美の反物とか あ、あれ!山さきのお取り寄せ! 時間合わなくていっつも売り切れなのよ」
「あの、秋に限定仕込み持ってったの覚えてないスか?」
「やあねえ、忘れてないわよ! 後、最近有給取ってないからゆっくり温泉旅行ってのもいいわねえ〜」
「…乱菊さん」
「ん?」
「言う相手間違えてません?」
「なによー聞くから答えたのにい」
「はい、すいません。俺が悪いっス」
「そうだ!オメーが悪りいんだ!!」
「修兵はいいから」
「えー酷いっスよ乱菊さん! で何の話だ恋次?」
「や、女の人のことだから、先輩じゃ答えられないっスよ」
「何と!女のことなら酸いも甘いもこの檜佐「吉良―ごめ〜ん、ちょっとここお願〜い」
「あーどこ行くんスかーかー……」



「もう、正月早々悪酔いし過ぎ!」
「編集キツいんスかねえ」
「で? あんたはまだ迷ってんの?」
「え?」
「あたしに聞いても朽木のお祝いにはならないわよ。
 それはルール違反」
「う……」
「さっき色々言ったけど、別に物が欲しい訳じゃないし」



 それより、
 あたしが何を好きか
 何が似合うか
 受け取った時どんな顔をするか
 そんな風に
 あたしを想いながら過ごしてくれるのが嬉しいの




「あんただってそうじゃない? 朽木が喜ぶ顔が見たいんでしょ?」
「……そっス」
「じゃあいーっぱい朽木のこと想って、自分で決めなさい!」
「あざーす!」
「よし!」
「乱菊さん」
「何?」
「乱菊さんでいっぱいにした相手からの贈り物ってどんなんだったんスか?」




「……秘密」

 もったいなくて
 恥ずかしくて

「何で赤くなるんスかー!?」

他人には教えられません





欲しいものは何?
自分じゃ手に入れられないもの
独りじゃ手に入れられないもの

ヒントはあげた
頑張れ恋次