莫迦だった。欲に囚われて家族のふりをしてると感じた。そんな自分を嫌悪した。でも、こいつは間違いなく家族だった。傷つけてようやく分かるなんて、おめでたい話だ。
 そうやって震えながら
「こんなことは、お前だから許せる」 なんて

 許さなくていいんだ。

 許したら俺はまた望んでしまう。
 家族の枠を踏み超えてしまう。

 そうしてまた傷つける。それは嫌なんだ。


 嫌なのに――――







遠い昔の記憶