14
海を漂う原生動物のように弛緩していた。融けた輪郭から意識が拡散して、目に映るものはそのまま私の中を通り過ぎる。耳に届くものは音楽のようで、なかなか意味を成さない。
「…ルキア…」 それは 私だ。
「おい」 ベッドに横たわっている。
「起きてっか?」 これは誰だ?
「…一護」声が擦れていた。
「あん?」その声で、記憶が逆回りを始めた。
そうだ、少し叫び過ぎた。
「お前、ひでぇ声…」壁にもたれた一護が笑う。「大丈夫か?」
現実が色を帯び始める。黙って頷いてみせた。
声が嗄れるほど鳴かせたと言うのは満足なことなのだろう。私もそんなつもりはなかったのに。
だが考えてみるとこやつは”死神代行”をやっているのだ。子供と思って見くびっていたのかもしれない。
子供、ではなく若いのだ。力に溢れている、体力も霊力も。そしてしなやかだ。
一護は虚と対峙する度に、死神として成長した。それこそ、こちらが驚くような早さでだ。
「…経験が足りないだけかもな。」
こやつはもっと強くなれる。おそらく、席官クラスに―――
あり得ないことを考えている自分に驚いた。あくまで゛代行゛は代行だ。
現世で生きる高校生に何を期待しているのだ…
そんなことを考えていたら、不機嫌顔が近づくのに気付くのが遅れた。
「経験不足で悪かったな…」すっげえ声出してたくせにと背中から声がした。
「え、ああ、その話ではないぞ。
それに経験不足と言っても当たり前だろう? 15なんだから。」
「気に入らねえ…」
寝ている躯を引き起こされ、後ろから抱きしめられた。
左手が前に回り膨らみを揉む。右手は項を伝って襟足を掻き上げた。
「あ…」
反射的に声が出た。指がゆっくりと縁をなぞる。止まっては、またなぞって私をくすぐった。
「…なあ」耳朶にそっと歯を立てて一護が囁く。
「なんでこんなとこに跡があるんだ?」
動きが止まった。
「俺は覚えねぇんだけど」一護は私を詰問しながら、きつい口調とは対照的に柔らかく、小刻みに愛撫を繰り返す。
「…きれいな赤だな。まだ新しい」
何も言わない私に痺れを切らして「昨日か?」と迫った。爪で弾かれ、胸の頂が立ち上がる。
「…治療と言われた。昨日の私は、自分でどうこう出来る状態じゃなかったのは知ってるだろう。」
「誰でもいいんだな」
「だから…」
苛立つ指が中を弄って、思わず吐息が零れた。
「もうこんなんだしな」
そこは新しい潤いに溢れていて、指が動く度にぴちゃと水音がした。
「…それは、当たり前だ」
いいところをいいように刺激すれば、そうなる。
後ろに手を回し、そっと熱に触れた。
「貴様だってそうじゃないか?」
手の内で硬さを増す熱がびくりと跳ねた。ゆるゆると扱くと先端が滑る。
「うぉ…」
「同じだろう?」
「くっそ…!」
私の躯はうつ伏せでシーツに押し付けられた。腰だけがわし掴みにされて、この体勢では丸見えだな、と思う間もなくそこを貫かれた。
「はあうっ!」
070812