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間髪を入れずに昂りが肉を割って入ってきた。
「…っはああ! うら…はらっ だめ、きつい」
「痛くないですよね? あまり気持ちよくなられると困るんですよ。
言ったでしょ?力を溜めて下さいって。朽木さんはイッちゃダメですからね。」
浦原は喋りながらじわじわと抜き差しを繰り返す。私の躯はあっという間に馴染んで快楽だけを貪り始めた。
「やっ…それ…」
「治療だから我慢して下さい。これが一番効率いいんです。」
襞が擦られてひくついた。我慢なんてできる訳が無い。
これは快楽による責め苦だ。覚えている。どこをどうすればこうなるか。一番感じるところはどこか。
私も知らなかったこの躯の反応を、髪の毛一筋から爪の先まで教え込まれた。
「…困りましたねぇ。
ホントに大したことしてないのに、これじゃあイッちゃうでしょ?」
浦原が腰の動きを止めて言った。
「ぅん…」
「アタシも多少の刺激がなきゃ、面倒なんですけどね。」
暫く考え込んでから浦原が言った。
「喜助、来て って何回かお願いして下さい。
それで手を打ちましょ。」
「うら…、き、すけ」
回らなくなった頭と口で、言われた事をゆるゆると実行した。
「きす、け」
「はあい」
「き、すけぇ…」
声が擦れて、ひどく甘くねだっているのが分かった。
「欲しい…
来て…?」
自分の言葉で中がきゅうと締まった。
「上出来です。行きますよ。」
浦原の口端が上がったとたんに中の圧迫感が増した。
「っ!」
熱いほとばしりが入ってくるのを感じた。それは確かに大きな力の塊だった。
放出されると同時に、私を内側から圧し広げようとしてきた。
「う…あぁ いや… 何これ…」
躯の中で嵐が吹き荒れているようだった。
あらゆる感覚が増幅されて私の中に入ってきた。布の擦れる触感、眼に入る光、周りの音や、自分の声さえも私を蝕んだ。
「あと15分ほど我慢して下さい。今ねぇ、薬がまだ効いてるから力が過剰気味なんですよ。
切れたらちょうど良くなりますから。」
一体どれだけ我慢しろというのか、と苦しくて涙が零れた。浦原は何事も無かったかのような涼しい顔で私を見ている。その冷静さが悔しくて睨んでも、泣き顔では話にならなかった。
「…朽木さん、あなたホントにかわいい人ですね。もう少ししたらいくらイッてもいいですよ。」
大きな手が私の濡れた頬を拭った。触れられただけで躯中がひくついた。
その様子を見て浦原は苦笑した。
「アタシはちょっと引っ込んでますね。
ここにいたらどうしてもちょっかいかけたくなるんで。」
時間を見てまた来ます、と言って浦原は部屋を出ていった。
あと少し、その少しが酷く先のことに感じた。本当にこの躯はいうことを聞かない。今更ながら呆れてしまう。
「・・・・誰がこんな風にしたんだ。莫迦者が。」
胸の中の影に小さく呟いた。
070721